
不動産の売却は、原則、所有者本人がたちあっておこなうものとされています。
しかし、やむを得ない事情がある場合など、代理人をたてて売却の手続きすることは可能でしょうか?
この記事では、委任や代理人についての概要から、委任状の作成のポイント、また安全な委任のためにチェックしておきたい注意点まで、解説します。


「委任」とは?
原則として、所有者本人がおこなう不動産売却を第三者に任せることは可能なのでしょうか?
そこで活用されるのが、「委任」という仕組みです。
「委任」は、不動産売却など法律にまつわる行為を第三者に託して、相手方が承諾した場合に成立します。
たとえば、ある所有者が代理人となってほしい人物に対し、不動産の売却を頼み、代理人となる人物もそれに承諾することで「委任契約」が結ばれます。
このように不動産の所有者から売却を託された第三者を「代理人」といい、任された手続きを所有者に代わっておこなうため、その責任は重大です。
代理人の意思表示は、所有者がおこなったと同じ効果があるとみなされます。
不動産売却で委任が必要なケース
不動産売却の場面では、前述のとおり、基本的には所有者である売主と買主の本人同士が立ち会います。
しかし、その立ち会いがどうしても困難な場合などに、代理人に代理権を与えて、売買契約が進められます。
具体的には下記のようなケースです。
●所有者が地方や国外に在住し、立会いが難しい
●高齢者など、契約のために移動することが難しい
●仕事や入院中などの事情により、打ち合わせや契約手続きのために時間の捻出が難しい
●不動産を複数人で共有しているが、所有者全員が立ち会う必要がある手続き時などに赴くことが難しい
最後の共有持分の不動産については、複数人で相続した物件を売却するときや、夫婦で共有していた物件を離婚を機に売却する場合などです。
ちなみに、代理人をたてることで、相続人全員が都合を合わせる煩雑さがなく手続きがスムーズに進んだり、離婚後に直接顔を会わせなくて済んだりなどのメリットもあります。
代理人の種類・「使者」との違い
代理人には、「任意代理人」「法定代理人」「復代理人」があります。
一般的に不動産売却においては、「任意代理人」であり、所有者の意思に基づいて、誰でも委任できます。
一方、「法定代理人」は、未成年で親権者がいない場合の『未成年後見人』など、法律によって定められる3種類の代理人をさしています。
法定代理人以外は、すべて任意代理人です。
代理人が付与された権限の範囲で、さらに代理人をたてた場合が「復代理人」です。
復代理人も、代理人と同じ効力を持っています。
また、「代理人」と混同されやすいのが「使者」です。
役割が大きく異なるので、違いについて把握しておきましょう。
代理人には、権限の範囲でですが、所有者の判断がなくても、意思表示から意思決定までおこなえます。
使者については、意思表示や意思決定の権限はもたされておらず、所有者に交渉内容をつたえる"メッセンジャー"としての役割を担っています。
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代理人に不動産売却を頼む際は、「代理権委任状」の準備が必須です。
代理人は、代理権を付与されていることを委任状によって証明できます。
同時に、委任状は代理人の不動産売却における権限の範囲を明確化する役割も果たしている重要な書類です。
代理権は、第三者に意思決定も可能な権限を与えるので、トラブル回避のためにも委任状は必須です。
委任状の作成の仕方と記載項目
委任状の重要性について解説しましたが、委任状自体に法的に定められたフォーマットなどはありません。
所有者みずから作成することもでき、書き方は自由ともいえますが、不備があることで、無権代理になるような事態は避けたいですね。
そこで、委任状作成の際は、ノウハウのある不動産会社や弁護士事務所などが持っている書式に則って作成するとよいでしょう。
また委任状に明確に記載しておきたい項目もご紹介します。
●代理人の住所や氏名と捺印
●所有者の住所や氏名、署名と捺印
●"代金の受領に関する権限""売買契約締結についての権限"など「委任する範囲」
●所在や地番など「土地の表示項目」
●家屋番号や構造など「建物の表示項目」
そのほか、有効期限なども必要です。
不動産についての記載は、法務局で登記簿謄本を入手して書くのが、間違いも回避でき、所有者本人の所有する不動産の証明としても有効です。
必要書類と準備物
不動産の売却を委任する際、委任状以外にも必要な書類があります。
所有者と代理人が、それぞれ3カ月以内に取得した印鑑証明と住民票です。
また、代理人は、運転免許証など顔写真がついた本人確認書類も用意します。
くわえて、実印も、所有者と代理人の双方で準備しましょう。
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委任する際に、気をつけたいポイントを代理人の選び方、委任状についてに絞って解説します。
代理人を選任する際のポイント
不動産売却は高額が動き、委任された代理人の行為は、所有者本人と同等の効力をもちます。
代理人は、通常、前述の任意代理人で、所有者により誰にでも依頼できて、法的な条件もありません。
しかし、重要な取引において、代理人は慎重に選定することが肝要です。
基本的には、親族または相当に信頼のおける間柄の人物を選任します。
また、代理人を選定する場合、連絡手段が確保できる人物を選ぶこともポイントです。
なぜなら、契約時になど、委任の範囲をこえる場面では、代理人は所有者と連絡をとりあう必要があります。
また、代理人は司法書士や弁護士などなどの専門家からも選定できるので、必要に応じて検討しましょう。
委任状について確認するポイント
作成した委任状について、不備にならないよう、再確認しておきたいポイントをご紹介します。
まず、誰が見てもすぐに理解でき明確な内容になっているかチェックしておきましょう。
とくに、代理権を付与する範囲について、相違がないか、あいまいになっている部分がないか重点的に確認します。
また、見落としがちな点として、文末に必ず「以上」が明記されているかも大切です。
これは、「以上」を末尾に締めくくることで、第三者による追記などを防止するためです。
あらかじめ権限の範囲を記載することが難しかった場合など、一部の記載や空欄で作成してしまうと、後々、トラブルに発展する恐れがあります。
このような「白紙委任」での作成は避け、必ず所有者と代理人がともに納得できる明確な委任状にしましょう。
また、委任状には権限の範囲を明記する一方で、おこなってほしくない禁止事項を書くこともできます。
しかし、あまりにも権限を狭めると、スムーズに取引が進まないケースのもあるので、「記載された以外の内容は、所有者に都度相談する」などと委任状に記載するのもよいでしょう。
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不動産においても、代理人を立てて売却できるのか、代理人や委任にまつわる仕組みや情報についてお届けしました。
高額な取引に直接かかわるため、代理人の選定は、慎重におこないたいですね。
また、「委任状」についても不備を避けるために、代理人をご検討の際は、ぜひ信頼できる不動産会社に書式や必要項目などご相談ください。












