「所有している戸建てが古くなったので、売却して別の家に住み替えたい」
「親が亡くなって実家を相続したけれど、建物がだいぶ古いし再び住む予定もないから売却したい」
戸建てを所有している、もしくは相続した方の中にはそのように考えている方もいらっしゃるでしょう。
戸建てを売却する方法の一つに、家屋を解体して更地にしてから売るケースがありますが、はたして解体費用はどのくらいかかるのでしょうか?
また、戸建てを解体して売却することにはどんなデメリットがあるのでしょうか?
今回は戸建てを解体して売却する場合のチェックポイントをご紹介します。
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弊社へのお問い合わせはこちら戸建てを解体して売却する場合の費用を決める6項目
戸建てを解体する際にかかる費用はさまざまな要因が絡み合って決まるため、物件によって差額が生じやすいものです。
戸建ての解体費用を決めるための主な要因は、次の6項目があります。
家屋の構造・築年数
木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など、家屋そのものの構造の違いです。
取り壊しやすい構造ほど安く抑えられ、堅い構造ほど相場が高くなりやすいのが一般的です。
構造を相場が安い順に並べると、木造が最も解体しやすく次いで鉄骨造(軽量鉄骨造→重量鉄骨造)・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造と続きます。
そして同じ構造でも築年数が古いほど解体しやすく、費用も抑えられます。
延床面積
延床面積が大きくなるほど費用は高くなります。
延床面積は戸建ての各階の床面積を合計した大きさなので、家屋の階数が多いほど面積も大きくなりやすいです。
戸建ての周辺環境
解体する際は重機やトラックなど大型車両を利用するため、それらが通行できる幅の前面道路や周辺道路が必要です。
また道路だけでなく、解体する際に重機が現地で作業するスペースの広さや隣家との距離も、費用を左右するポイントです。
前面道路や周辺道路が狭く大型車両が通行できなかったり、作業スペースが狭く隣家との距離も不十分だったりすると、小まめな解体作業や運搬で費用が高くなりやすいので注意しましょう。
地域
戸建てがある地域が都市部に近いほど解体費用の相場は高くなり、反対に地方は相場が安くなります。
室内の残置物の有無
家屋は室内に残置物がある状態では解体できません。
もし残置物の処分まで必要なら、その分の費用も上乗せされます。
付帯工事
庭に植えられている樹木の伐採、庭石・カーポート・倉庫の撤去など敷地内にある家屋以外の所有物の処分も必要であれば、これも解体費用にプラスされます。
戸建ての解体費用の相場を構造と延床面積別で比較する
続いて、戸建ての解体費用の相場を構造と延床面積別で比較してみましょう。
●(1)木造30坪…100万円
●(2)木造50坪…170万円
●(3)鉄骨造30坪…150万円
●(4)鉄骨造50坪…200万円
●(5)鉄筋コンクリート造30坪…180万円
●(6)鉄筋コンクリート造50坪…300万円
構造や延床面積が変わると、解体費用の相場も大きく変わることが分かります。
なお国土交通省が公表している資料の中には、地域別・面積別でみた木造住宅の解体費用の相場が掲載されていますので、そちらも併せてご覧ください。
参考:国土交通省 我が国の住宅ストックをめぐる状況について(「空き家の解体費用について」のページ)
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売却前に戸建てを解体する場合の流れ
戸建てを解体してから売却すると決めても、すぐに家屋を取り壊すことはできません。
戸建ての解体完了までの流れは、大きく分けると見積→解体準備→着工→後処理・整地で進められます。
ここからは、戸建て解体完了までの主な流れをご紹介します。
見積
通常の戸建て売却では、不動産業者に見積をもらって内容を確認してから媒介契約を結びます。
それと同じように、解体する際もまずは専門業者へ依頼して見積を取ります。
解体の場合、専門業者はインターネットから依頼を受けた段階では当該物件の詳細が分からないため、現地調査が欠かせません。
現地調査が完了して見積を受け取り後、内容を確認して問題がなければ解体工事契約を結びます。
解体準備
解体工事を滞りなく進めるため、着工前は入念な準備が必要です。
解体準備でやる作業は、
●近隣住民へのあいさつ
●ライフラインの停止
がメインです。
近隣住民へのあいさつ
解体工事が始まると、大きな音が出たりホコリが舞ったりします。
しかも作業は何日にもわたって行われるため、期間中はどうしてもご近所の方々に迷惑をかけてしまうことは避けられません。
そのため解体工事を行うことが決まったら、必ずご近所へあいさつに伺いましょう。
あいさつに伺う際は、どんな作業が行われて期間はどのくらいかかるのかも併せて案内すると、より丁寧です。
ご近所へのあいさつは専門業者も同行してくれるので、工事のお知らせなどは業者が説明します。
ライフラインの停止
戸建てで使用している電気やガスなどのライフラインは不要になるため、着工前に各事業者へ利用停止の旨を伝えましょう。
その他にも、固定電話やインターネット回線・ケーブルテレビのアンテナなどもあれば、利用停止か転居用の手続きを行って撤去してください。
着工
解体準備が整ったら、いよいよ着工です。
着工は
●足場と養生の設置
●屋内の解体
●家屋全体の解体
の流れで進められます。
足場と養生の設置
まずは高所作業を行うために必要な足場と、作業中に発生する騒音・ホコリが極力近隣の迷惑にならないようにするための養生を設置します。
屋内の解体
足場と養生の設置が完了したら、屋内の解体作業を開始します。
家屋全体の解体
内装の解体が終わったら、戸建てを支えていた梁・柱・屋根・基礎を取り壊します。
後処理・整地
すべて解体し終えたら建築廃材をきちんと分別し、トラックで処分場まで運搬します。
その後は敷地内に細かな建築廃材が残っていないか、地中にも売却の妨げとなるようなものが埋まっていないか確認して問題がなければ、土地を平たくきれいにする整地を行います。
これが戸建て解体時の流れです。
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戸建てを解体して売却する際に考えられるデメリット
最後は、戸建てを解体して売却する時に注意していただきたいデメリットをご紹介します。
デメリット1:税金が増額される
不動産所有者が毎年支払っている固定資産税や都市計画税ですが、住宅用の土地は本来の税額より安くなるよう特例が適用されています。
※都市計画税は都市計画区域内にある不動産に対して課税されるため、それ以外の区域にある不動産には課税されません。
住宅用の土地に適用される特例は固定資産税・都市計画税ともに2種類あり、土地の面積に応じて軽減される税金の割合が変わります。
固定資産税の場合
●面積が200㎡以下の部分…課税標準×1/6(小規模住宅用地)
●面積が200㎡を超える部分…課税標準×1/3(一般住宅用地)
都市計画税の場合
●面積が200㎡以下の部分…課税標準×1/3(小規模住宅用地)
●面積が200㎡を超える部分…課税標準×2/3(一般住宅用地)
たとえば本来は固定資産税が60万円、都市計画税が30万円の小規模住宅用地に該当する土地があった場合、特例が適用されると固定資産税・都市計画税ともにそれぞれ10万円まで安くなります。
しかしこの特例が適用されるには、土地の上に家屋が建っていなければなりません。
戸建てを解体すると家屋はなくなるので特例の適用対象外となり、税金が高くなる(本来の金額に戻ってしまう)のです。
戸建てを解体後、土地だけを売りに出しても買い手が見つかって引き渡すまでは自分の所有物なので、税金も支払う義務があります。
デメリット2:再び家を建てられないことがある
解体予定の戸建てがある地域が市街化調整区域に該当する場合、一度家屋を取り壊すと再び建てられないかもしれません。
市街化調整区域とは、自然や農地などを残してむやみな市街地拡大化を防止する地域のことです。
※反対に、市街化を進める地域を市街化区域といいます。
市街化調整区域は自然が豊かな点が魅力ですが、市街化を抑制している地域なので道路の舗装や下水道などの生活に欠かせないインフラ整備が進んでいません。
さらに、家を建てるとしても市街化区域と比べると建築条件の制限が多く、今ある家屋を解体してしまうと再び家を建てられない、もしくは解体前より厳しい条件で建てることになるケースが多いです。
買い手側からすると、そんな土地を購入しても理想の家が建てられないなら魅力的な物件ではないため、たとえ売却しても購入希望者がなかなか現れず苦労するでしょう。
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まとめ
古くなって資産価値もほとんどなくなった戸建ては、そのまま売却するより解体して土地だけを売却するのも一つの策です。
ただし解体費用が意外と高くデメリットも大きいので、安易に解体することはおすすめできません。
まずは戸建て付きでも売れるかどうか調べて、そのうえで解体して土地だけにした方が売却しやすいと判断してから行動に移しても遅くないでしょう。
現在所有する戸建ての売却や相続した実家の売却でお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
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